仲島チーム「核内受容体を介したがん制御」
核内受容体は、脂溶性低分子をリガンドとして転写を制御することで、様々な生命現象に関与しています。そのため核内受容体は重要な研究ターゲットのひとつとして考えられています。現在、私たちは核内受容体が制御する生命現象の一つとして前立腺がんに注目し、前立腺特異的に発現する核内受容体であるERβと、それを制御するリガンドについて研究をしています。今回、私たちはGS-1405という新規のリガンドを見つけました。このリガンドは、ERβのアンタゴニストであり、ERβの機能を阻害するように働きます。しかし、エストロゲン(E2)と同様に、GS-1405はERβを介して腫瘍の足場非依存性増殖を亢進させることが確認されました。この事から、腫瘍形成能はERβによる転写活性化という従来の経路(genomic pathway)によるものではなく、新しい経路(non-genomic pathway)によることが示唆されました。このように、核内受容体による作用経路を解明することで、新規リガンドによる生体現象の制御への可能性を探っていくことを研究の大きな目標としています。
・ERβを介したがん細胞増殖制御
私たちは、当研究室で新たに働きを発見した新規リガンドGS-1405をきっかけに、腫瘍形成の新しい制御経路についての研究を行っています。今までにエストロゲン非存在下でERβは、KLF5という細胞増殖や分化を制御する転写因子に、共役転写活性化因子であるCBPというタンパク質をリクルートし、KLF5を通してFOXO1の転写を活性化すること、このFOXO1がアポトーシスを亢進する効果によって、前立腺がん細胞のアポトーシスを促進し、腫瘍を縮小させる働きを持っていることがわかりました。一方、エストロゲン存在下では、ERβにWWP1というユビキチンリガーゼが結合し、ERβ・KLF5・WWP1の複合体を形成することで、KLF5をユビキチン化して分解させます。これにより、KLF5を介したFOXO1の転写が抑制され、その結果、前立腺がん細胞のアポトーシスが抑制されることが明らかになりました。これらの研究をもとに、新しい経路による前立腺がんの治療の可能性を模索していくことができると考えています。
図:今回発見した新しい転写抑制の仕組み

・ERβを介したがん細胞増殖制御
私たちは、当研究室で新たに働きを発見した新規リガンドGS-1405をきっかけに、腫瘍形成の新しい制御経路についての研究を行っています。今までにエストロゲン非存在下でERβは、KLF5という細胞増殖や分化を制御する転写因子に、共役転写活性化因子であるCBPというタンパク質をリクルートし、KLF5を通してFOXO1の転写を活性化すること、このFOXO1がアポトーシスを亢進する効果によって、前立腺がん細胞のアポトーシスを促進し、腫瘍を縮小させる働きを持っていることがわかりました。一方、エストロゲン存在下では、ERβにWWP1というユビキチンリガーゼが結合し、ERβ・KLF5・WWP1の複合体を形成することで、KLF5をユビキチン化して分解させます。これにより、KLF5を介したFOXO1の転写が抑制され、その結果、前立腺がん細胞のアポトーシスが抑制されることが明らかになりました。これらの研究をもとに、新しい経路による前立腺がんの治療の可能性を模索していくことができると考えています。
図:今回発見した新しい転写抑制の仕組み
・ERβを介したがん血管新生制御
がんが増殖するには、栄養を得るために血管をがん腫瘍へと形成させる必要があります。今までに、前立腺がんにおいてERβは、FOXO1だけでなくPDGF A とPDGF B という血小板由来成長因子の転写もKLF5を介して活性化させることを見出しました。私たちは、新規リガンドGS-1405によりKLF5の活性が低下して、それによりPDGFの転写が抑制される結果がん血管新生が抑えられ、栄養が足りなくなったがん細胞は増殖ができなくなるのではないかと考え、GS-1405を用いた血管新生制御によるがん細胞の成長抑制について検討中です。
図:血管新生のしくみと新規リガンドの関係

がんが増殖するには、栄養を得るために血管をがん腫瘍へと形成させる必要があります。今までに、前立腺がんにおいてERβは、FOXO1だけでなくPDGF A とPDGF B という血小板由来成長因子の転写もKLF5を介して活性化させることを見出しました。私たちは、新規リガンドGS-1405によりKLF5の活性が低下して、それによりPDGFの転写が抑制される結果がん血管新生が抑えられ、栄養が足りなくなったがん細胞は増殖ができなくなるのではないかと考え、GS-1405を用いた血管新生制御によるがん細胞の成長抑制について検討中です。
図:血管新生のしくみと新規リガンドの関係
新規リガンドがあると(図右下)PDGFの発現が抑えられ、血管新生が抑えられる。








